マーボー豆腐

夕食はゴーヤーチャンプルー。かくも唐突に、我が家の夕食について書いているのは、それが珍しいメニューだったからでも、特別に旨かったからでも無い。夏にはかなり頻繁に食卓に現れるメニューであり、前回自分が作ったのは失敗作だったが、かみさんが作った今日のやつは、いつも通り旨い。いや、強いて言うならいつもは大量にのっている鰹節が今日は無かった。そのせいだろうか、その味は自分にあるものを思い起こさせた。亡くなった母親が作っていた「マーボー豆腐」と同じ味なのだ。彼女が「マーボー豆腐」と呼んでいたその料理は、かなりぐちゃぐちゃになった豆腐と挽き肉、椎茸、人参、ネギ?なんかが細かく刻んで入っていて、片栗でとろみがついている。こう書くと世間で言う麻婆豆腐とそれほど掛け離れてはいないのだが、全く辛くない。辛い気配さえもない。従って赤くもない。見た目はとろみのついたオカラのような感じ。麻婆豆腐とは全く別の料理なのだ。中華料理でさえもない。それが、一人一個のかぼちゃの煮付けを盛るような小鉢に入って出てくる。これが旨い。今まで味付けがわからなかったのだが、かみさんの作るゴーヤーチャンプルーと同じ味ということは、つまり本だしなのだ。