光学マウス

久々に秋葉原へ。目的はかみさんに触発されて、Myマウスが欲しくなったこと。今や秋葉に行って確認しないと買えないものというのはキーボードとマウスくらいのものではないかと思うのだが、マウスを実際に試せる売り場は案外少ない。数少ないPCに繋がったマウスを試せる売り場を求めて彷徨うこと3時間、至ったとりあえずの結論は、自分には光学マウスは使えない、ということらしい。左右スクロールとかズームとかできるやつが欲しいなと思っていたのだが、その前にポインタが思ったように動かない。
マウスというのは、画面という仮想平面を机という物理平面にマッピングするものだ。普通、仮想平面の方が広いのでリニアにマッピングはできない。たとえリニアにマッピングできる広い机と、その机を常に整頓しておける几帳面な性格があったとしても、リニアなマッピングは決して使いやすくはないだろう。会社に入って2年目くらいの頃だろうか、SUNのワークステーションをT社が初めて導入するというので説明に行った事がある。まだWindowsが存在していなかった時代だ。客はビットマップディスプレイを使ったwindowシステムもマウスも初めてだ。その客がぎこちなくマウスを操作しながら、「画面の右端に届かんのだけど、どうしたらええの?」当時のSUNのマウスは光学式で専用のマウスパッドからはみ出すと全く反応しない。そのマウスパッドの右端でマウスを一生懸命左右に動かしていたのだ。いろんなことがわかってきて、生意気盛りだった自分は、このオヤジ馬鹿じゃねーの、と思いながら「お客様、マウスはマウスパッドから離すとポインタが動かなくなりますから、右端からもっと右に持って行きたい時は、一旦マウスをマウスパッドから離して左端に置いてから、また右に滑らせてください」と馬鹿丁寧に説明してやった。客は真に受けて「ほー、凄いねー」と素直に感心してくれた(Internetは辛うじて存在していたが、Webは無いからgoogleも無かった、AsahiパソコンもPC21も無かった、ASCIIはあったが一般人の読むものではなかった、良い時代だった)わけだが、大事なのは、この「マウスパッドから離すと動かなくなる」という性質なのだ。マウスを浮かせて移動している時というのは、マウスポインタの移動を中断して次にマウスを接地した時にポインタの移動を再開したいわけだから、この間ポインタは絶対に動いてはならないのだ。今までのボール式なら物理的にそのようにしか作れないし、かつてのSUNの光学式もそうだった(はずだ)。ところが現在の光学式は、「どんな接地面でも使える」性質を重視するあまり、接地面から5mmほど離れていても接地面を認識してしまうと思われる。その結果何が起こるかと言うと、マウスを浮かせて逆方向に移動する際、ポインタもそれにつられて戻ってしまうのだ。これ程のストレスが他にあろうか?
今やマウスと言えば光学式だ。可動部分が無いということは、メンテナンスが不要ということであり、恐らくはコストも安いということだろう。であれば、このストレスは自分だけが感じるストレスなのだろうか。「ポインタの移動を中断してマウスを物理的に移動する」という操作を、自分が他のユーザよりも多く行っている可能性があるとしたら、その要因は何だろうか?

  • ポインタの移動速度が遅い/加速度が少ない

自分が日常的に使用しているシステムがLinux/X11であるから、これは充分有りえるのだが、Windowsもやはり日常的に使わざるを得ないわけで、両者を行ったり来たりしても、マウスの移動に関してそれほどの違和感は無い。一般のユーザが自分の常用するシステムでは、速度/加速度をカスタマイズしてるかというと、それも考えにくい。

  • 画面が広い

広いと言っても、所詮は1280x1024だ。世の中には1600x1200で使っているユーザもいる。現在標準的な解像度はXGAと思われるが、この1024x768の仮想平面を、マウスを浮かせずに移動できる速度/加速度が使いやすいとは思えない。

  • 物理的なマウス移動範囲が狭い

これは推測の術が無いが、やはり平均的なユーザに比べて極端に狭いとは思えない。

  • マウスを浮かせる高さが低い

有りえる。最近回りでは、マウスを「カッチャン、カッチャン」言わせているユーザが多いような気がしてならない。これは、光学式のためマウスパッドを使わないユーザが増えたのだろうと思っていたのだが、光学に順応するためにマウスを浮かせる高さを無意識に高くしている、ということは考えられないだろうか。